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『サービス・ラーニングの一部として課外活動の活用を』(渡部代表の私見見解)

2021/08/30

キャンパス総研
代表取締役 渡部陽


先日発表された全国大学生活協同組合連合会が7月に行ったアンケート調査で、44%の学生が学生生活は充実していないと感じているという発表がありました。調査の担当者はコロナの長期化を原因に挙げてますが、充実した学生生活には友人や先輩後輩、先生とのつながり、居場所が必要だと考えます。
私は、課外活動をサービス・ラーニングの一つと位置付け、これまでのボランティア活動などにとどまらず、例えば地域の小中学校へのスポーツ指導や対外試合、アカペラや落語など芸術文化系団体の発表など、課外活動経験を地域貢献にも生かすことができるのではと考えています。
 とはいえ、大学がどこまで主体的に関わるのか、どこまでの活動を認めるかなど、非正課だからこその課題はあります。そもそも課外活動には、大学公認団体と非公認団体があります。公認の届け出には名ばかりの顧問をつけるだけで、部室が与えられる大学も少なくありません。更に文化団体連盟や体育会連盟に所属して一定基準を満たした団体は、大学から助成金も支払われることも珍しくありません。私は、大学側が助成金を支払うだけの一定基準を満たした団体には、サービス・ラーニングの一環として、社会貢献活動をすることを義務化できるのではと考えます。学術系でも芸術系でも体育系でも、純粋にその活動種目の延長上にサービス・ラーニングがあるので、大学側が場を用意してあげれば、積極的に取り組めるはずです。
筑波大学人間学群のホームページには、サービス・ラーニングの役割として以下の3つを掲げています。①専門教育を通して獲得した専門的な知識・技能の現実社会で実際に活用できる知識・技能への変化②将来の職業について考える機会③自らの社会的役割を意識することによる,市民として必要な資質・能力の向上。私は、この3つの枠割が、いずれも課外活動でも当てはまる成果だと考えます。
 コロナの影響で、学生の満足度が低い今こそ、学生が主体的に取り組める課外活動を、準正課のサービス・ラーニングの一部として大学が積極的な活用をすべきだと考えます。


 

参考資料


2019 福留東土 日本の大学におけるサービス・ラーニングの動向と課題
2020 全国大学生活協同組合連合会 CAMPUS LIFE DATA 2020
2020 両角亜希子 
日本の大学経営―自律的・協働的改革をめざして

本稿は、渡部陽が東京大学教育学部大学院大学経営政策各論の課題で提出したものを、復習後、大幅に編集したものになります。